日新工業建築設計競技「地の家」【Competition】

建築とは、大地に新たな層(レイヤー)を積み重ねる行為である。

我々は、造成によって土地の記憶を消し去るのではなく、斜面という地形が持つ本来の姿、

すなわち悠久の時間をかけて形成された「地層」を継承し、そこに 住まうことを考えた。

この建築は等高線に沿って積層された新しい地層そのものである。各住戸は大地に抱かれた

洞窟のような安心感と、眼下に広がる風景への開放性を併せ持つ。

そしてこの地層を垂直に貫くのが「光の階段」 だ。半透明の蹴上を通して降り注ぐ光は、時間と共にその角度と表情を変え、

内部空間に美しい縞模様を描き出す。それはまるで、地層に刻まれた時間の記憶を可視化するかのようだ。

住人は、光の移ろいを通じて、日々の暮 らしの中で大地のリズムと一体となる。

これは、地形と光という、その土地固有の価値を最大限に引き出す「地の家」の提案である。 


Date.          2025.09

Principal use.     集合住宅

Location.             広島県呉市

Structure.        RC造4階建て

Site area.      600.00㎡

Total floor area. 981.27